大脳皮質局所回路に学ぶ新しいアーキテクチャと学習モデルの構築

A01大脳皮質局所回路に学ぶ新しいアーキテクチャと学習モデルの構築

 脳には人工知能の視点から未だ検討されていない、さまざまな生物学的特徴が存在しています。例えばスパイクを用いる情報伝達と学習、あるいは神経細胞の樹状突起がネットワークレベルで果たす機能的役割などがそれに当たります。本研究ではこのような脳の神経回路の特徴がもたらす計算論的な利点を明らかにして、それを人工知能の新しいアーキテクチャや学習則の開発に応用することを目指します。人工知能の能力は近年著しく向上しましたが、計算の柔軟さやスマートさという点においては、まだ脳には及ばない点があるためです。この目的を達成するために、具体的にはスパイク時間依存のシナプス可塑性(STDP)や構造的シナプス可塑性による興奮性及び抑制性シナプスの学習理論、錐体細胞の樹状突起を考慮した学習理論とそれに基づく新しい予測符号化や記憶のメカニズムの提案、スパイク計算に基づく深層回路モデルや多層回路の新しい学習理論の開発、領野間情報伝達の神経回路メカニズムの動的モデル化、リカレント神経回路によるリザーバ計算の枠組みと機能の拡張などを目指します。それにより脳に学ぶ人工知能技術の開発に貢献しつつ、階層ベイズ計算の大脳皮質局所回路の計算メカニズムや、大脳皮質ー大脳基底核ループが外界の情報をコンパクトに表現して処理するメカニズムの解明などにつなげます。

研究者リスト

  • 深井 朋樹

    Project Leader

    深井 朋樹

    理化学研究所 脳科学総合研究センター 

    シニア・チームリーダー

    WEBSITE

  • 芳賀 達也

    Collaborator

    芳賀 達也

    理化学研究所 脳科学総合研究センター

    博士研究員

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