神谷之康 先生

Title:深層ニューラルネットワークと脳のホモロジーとその応用

神谷之康(かみたにゆきやす)
京都大学 大学院情報学研究科/ATR脳情報研究所

 深層ニューラルネットワークは、脳の基本素子であるニューロンやシナプスの機能にヒントを得て作られた数理モデルであるが、近年は脳のモデルとしてではなく、汎用的な機械学習手法として研究され、応用分野において顕著な性能を示している。画像認識においては、畳み込みと非線形演算からなる階層的ネットワークを大規模画像ビッグデータで最適化することで、高精度な物体認識が可能になるだけでなく、各階層に異なるレベルの複雑さを持った特徴が自動的に抽出される。われわれのグループは最近、機械学習を用いて脳活動パターンから認知状態を解読する脳デコーディング技術を応用して、画像を見ているときのヒト視覚野の活動パターンから、同じ画像を入力としたときの深層ニューラルネットワークの信号パターンを予測できることを発見した。本講演では、深層ニューラルネットワークと脳の情報表現の階層的な相同性(ホモロジー)とそれを利用する技術の可能性について議論する。

参考文献:
1, Horikawa T, Kamitani Y (2017) Generic decoding of seen and imagined objects using hierarchical visual features. Nature Communications. (in press)
2, Horikawa T, Kamitani Y (2017) Hierarchical Neural Representation of Dreamed Objects Revealed by Brain Decoding with Deep Neural Network Features. Frontiers in Computational Neuroscience 11:4.
3, Yamins DLK, DiCarlo JJ (2016) Using goal-driven deep learning models to understand sensory cortex. Nature Neuroscience 19:356–365.

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