行動選択におけるドーパミン神経回路の並列情報処理機構の解明

A02行動選択におけるドーパミン神経回路の並列情報処理機構の解明

 未来を予測して行動し、その行動の結果と予測の誤差からより良い予測を学ぶ能力は、環境に応じた適切な行動を選ぶ際にとても役に立ちます。中脳ドーパミン細胞は、報酬に基づく予測誤差からの学習に重要な役割を果たすことが知られています。一方で近年の研究から、ドーパミン細胞にはさまざまな多様性があることが明らかになってきました。このことから、ドーパミン細胞はこれまで考えられていた以上に多様で広範な学習に関与していることが予想されます。本研究では、ドーパミン細胞にみられる多様性のうち、投射神経回路の違いと環境依存的な信号モードの違いに着目し、これらの多様性が価値に基づく行動選択、意思決定の実現にどのように関わっているのかを明らかにすることを目的とします。大規模な単一細胞活動記録法と光遺伝学を組み合わせ、高い時間解像度から個々のドーパミン細胞の活動を計測します。自由行動下の動物にこの計測技術を適用し、環境の状態が動的に変化する行動課題を行わせることで、外部からの入力や環境構造の内部モデルをドーパミン系がコードする仕組みを検証します。環境に応じた最適な行動選択を可能にするドーパミン系の情報処理機構を理解することによって、幅広い問題を柔軟にかつ適切に処理できる汎用的な人工知能システムの実現に貢献することを目指します。

 

研究者リスト

  • 松本 英之

    Project Leader

    松本 英之

    大阪市立大学

    助教

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