A01非線形ダイナミカル表現学習法の開発による脳の理解と予測
脳のダイナミクスの解析は、脳の計算機構の解明や、そこで得られた知見をもとにした新たな脳型情報処理アルゴリズムの実現など、幅広い応用可能性があります。これまでにネットワークモデルや、脳大域回路モデルをはじめ、様々なダイナミクス解析法やモデル化の試みが行われてきましたが、脳の複雑な非線形性、観測できない潜在因子、ラベル情報の欠如など、その解明にはいくつものハードルがあります。
そこで本研究は、新たな非線形ダイナミクス解析法の開発を通し、そのような複雑・非線形な脳のダイナミクスのさらなる理解を目的とします。特に、近年応募者らが深層学習の新たな理論的解釈として一石を投じた非線形独立成分分析(ICA)手法をさらに発展させることで、新たに、脳の非線形ダイナミクスとその背後にある潜在成分を推定する、深層学習に基づく教師なし非線形ダイナミカル表現学習法を開発します。そして提案法を実際の脳計測データに適用し、その表現空間を学習することで、脳ダイナミクスの理解とその予測への展開を目指します。
提案法で学習された脳内表現やダイナミカルモデルは、脳の計算機構の解明に向けた貢献のほか、将来的には新たな人工知能システムの開発に向けた知見の獲得も見込まれるなど、大きなインパクトが期待できます。