超大規模電気生理学を用いた睡眠中のオフライン学習アルゴリズムの解析

A01超大規模電気生理学を用いた睡眠中のオフライン学習アルゴリズムの解析

 脳にとって睡眠は外界からの感覚入力から切り離されたオフラインの状態です。しかし、脳は睡眠中も休むことなく活動しており、とくに記憶の獲得に重要な海馬では覚醒時の活動パターンが再現されていることが知られています。このような活動の「リプレイ」は獲得した記憶を安定な形に定着させる「オフライン学習」に関わっていると考えられています。また、脳は経験した事柄をすべて記憶するわけではなく、生体にとって重要な意味を持つ情報をより効率よく記憶します。オフライン学習はこのような記憶の選別にも関わっている可能性があります。
 このように海馬を含む神経回路でのオフライン学習は記憶機能において重要な役割を担っていると考えられていますが、海馬で用いられている学習則については未だに定説を見ません。これは海馬の出力は他の脳領域での情報処理を経て行動や記憶に反映されるため、海馬単体での学習則を構築することが難しいことが原因としてあります。
 そこで本研究では超大規模電気生理学と呼ばれる手法を用いることで海馬を含む複数の脳領域の活動を単一細胞レベルの解像度で同時に計測し、海馬とその周辺領域で睡眠中に行われているオフライン学習の実態を明らかにします。これにより、生体にとって重要な事柄をより効率よく学習するアルゴリズムを解明し、人工知能アルゴリズムのさらなる進化へとつなげます。

 

研究者リスト

  • 宮脇 寛行

    Project Leader

    宮脇 寛行

    大阪市立大学大学院医学研究科

    助教

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