予測符合化モデルと、自律推論する脳機構との照合

A03予測符合化モデルと、自律推論する脳機構との照合

 近年、自由エネルギー原理が、これまで、個々の脳機能モジュールごとに提唱されてきた理論を、統一的に説明できる可能性から、注目されています。その内容は、ヘルムホルツの考え方から一歩進み、脳を情報のホメオスタシス装置としてとらえ、予測符号化モデルという形で、定式化されています。その骨子は、脳は、能動的な推論装置で、予測誤差(自由エネルギー)を最小化するように、予測生成モデルを更新するというものです。脳の諸動作を、幅広く説明できる点で魅力的ですが、実験的検証が不十分な点も、多く残されています。特に、予測テンプレートが、脳のどこを起源に、どの経路で伝達され、どのように更新されるのか、不明です。本研究は、サル・ヒトを対象にした実験データと、予測符号化モデルを照合させて、自律推論のメカニズムを明らかにすることを目指します。本研究は、脳は、どのように、多数の機能モジュールを統合し(状況によっては、特定モジュールを選択し)、その自律性を維持できているのかという問題に直結し、脳科学だけでなく、人工知能の情報処理様式についても、新洞察をもたらす可能性があります。

研究者リスト

  • 小村 豊

    Project Leader

    小村 豊

    京都大学

    教授

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