A03深層学習を用いた精神疾患の計算論的検査・評価法の開発
本研究は、深層学習(Deep learning)技術を用いた安静時機能的磁気共鳴画像(rsfMRI)データ解析に基づく、新しい精神疾患の検査・評価法「計算論的検査・評価法(computational assay)」を開発することを目的とします。rsfMRIは、安静状態でMRI撮像を繰り返し、自発的脳活動の時間的変化を捉える脳画像検査法で、脳領域間の機能的結合が個人の脳状態を反映した有益な情報源であると考えられ、精神疾患の病態把握を含む医療応用も見据えた研究が活発に行われています。しかし、rsfMRIデータに豊富に含まれる時間的な脳活動のダイナミクスから有益な情報を取り出す技術は未だ十分に確立できていません。そこで、本研究では、時系列情報から時間・空間的階層性をもった自己組織的特徴量抽出が可能な深層学習モデルを用いて、rsfMRIデータから、精神疾患患者個々人の脳状態に対応するデータを抽出する方法の確立を目指します。特に、従来の精神疾患カテゴリーにとらわれず、非特異的に出現しうる精神症状と、それに対応する生物学的基盤の検討を重視する次元的アプローチ、に基づいて精神疾患患者個々人のデータを検討することで、患者ごとの診断・疾患予後や治療反応性予測などを総合的に評価する方法の基盤となる技術の確立を目指します。