A02行動選択の回路モデル構築のための前頭前野―大脳基底核・小脳連関の構築様式の解明
定型的な反応では対応できないような状況に対し、外的・内的情報を統合して、適切な判断に基づき行動を組織化する脳機能には、大脳皮質前頭前野が重要な役割を果たします。前頭前野は前頭極、眼窩前頭皮質、腹内側部、背外側部、前部帯状皮質など複数の領野に分かれており、これらの領野は大脳基底核、小脳とループ回路を形成しています。このことから、脳の柔軟な行動選択のメカニズムを理解するためには、前頭前野の各領野が大脳基底核、小脳と形成するループ回路の構造を解明することが必要となると考えられます。
本研究は、狂犬病ウイルスベクターを用いた逆行性越シナプス的多重トレーシング法などの先端的回路解析法を開発することにより、前頭前野―大脳基底核、小脳ループ回路が形成する行動選択ネットワークの構築様式を明らかにすることを目的とします。具体的には、前頭前野の各領野が形成するループ回路間における相違(トポグラフィー)と重複(オーバーラップ)のパターンを解析し、前頭前野―大脳基底核、小脳ループ回路の情報伝達様式を明らかにすることを目指します。また、上記研究におけるラベル解析を機械学習を利用して自動化する手法や、ラベルデータの標準化手法などを領域内連携により検討し、各脳領域のラベルデータを短時間で解析し、汎用的なフォーマットとして保管するための技術開発を行います。