A01前頭前野活動の網羅的計測と情報表現解読法の開発

　環境の変化に応じて多様な意思決定をする能力は、霊長類で特に発達した本質的な脳機能です。本機能に前頭前野が深く関わっていることは明白です。しかし、前頭前野の情報表現は複雑であり、行っている計算をどのように大脳皮質ネットワークとして実現しているかを理解するのは困難です。本研究では、意思決定研究の2大潮流の1つである知覚判断の系に則ったタスクスイッチ課題中に、前頭前野の複数領域から皮質脳波（ECoG）を計測し、神経活動を網羅的に取得します。さらに、情報表現が複雑な前頭前野の神経活動に、深層学習によるデコーディング技術を適用し、柔軟な意思決定を可能にする大脳皮質神経ネットワークを明らかにします。具体的には、外界の情報、環境、意思の推移など意思決定に重要な高次内的情報を神経活動から解読するために最適なニューラルネットワークを構築します。構築したネットワークの構成を可視化することにより、取得したECoGデータのどの部分（どの電極のどの時間帯の神経活動、どの電極間機能結合）が高次内的情報を解読するのに役立ったかを確認し、高次内的情報がどのような神経活動で実現されているのかを理解します。