神経信号からネットワーク構造を推定し,そこに発現する活動パターンを予測する

A01神経信号からネットワーク構造を推定し,そこに発現する活動パターンを予測する

 私たちは同時並列計測された神経データの解析手法の開発とその応用を目的として、まずその基本となる以下の2つの研究に注力する所存です。

(A) 同時計測データから神経回路を推定する
神経スパイク信号は神経結合を通して他の神経細胞の活動に影響を与えるので、活動相関から結合を推定できます。ただし神経細胞対はそれ以外の多くの神経細胞の影響を受けているため、いくつかの同期スパイク発生が計測されたからといってそれでシナプス結合があると結論づけることはできず、同期発火の発生が有意になるまで十分長くスパイクを計測する必要があります。私たちは、想定する強度のシナプス結合を推定するのに必要な計測時間を見積もることに成功しました。この知識は実験スケジュールをデザインする上で有用な情報になります。

(B) 回路の上に発現する神経活動を推定する
動物の感覚や行動は多数の神経細胞が共同的に働くことで担われていますが、各脳領野でどの程度の集団が共同作業を行っているかということに関する知見は得られていません。それを知るためには、計測技術を向上させるだけではなく、その膨大なデータを解析する理論体系とアルゴリズムが必要です。私たちは自己励起システムに関して、与えられたネットワークが引き起こす神経発火のゆらぎ発生を理論的に予測することに成功しましたが(Onaga and Shinomoto, Sci Rep 2016),理論を発展させてネットワークの活動予測を行う方法論を構築する予定です。

研究者リスト

  • 篠本 滋

    Project Leader

    篠本 滋

    京都大学

    准教授

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  • 小林 亮太

    Collaborator

    小林 亮太

    国立情報学研究所

    助教

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  • 青木 高明

    Collaborator

    青木 高明

    香川大学

    准教授

    WEBSITE

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